受験や英会話のために英語学習をしていると、「シャドーイング」という学習法がよくおすすめされると思いますが、日本ではまだまだシャドーイングが浸透しておらず学校の授業などではあまりやらないことから、
「シャドーイングってどんな効果があるの?」
「正しいやり方を知りたい!」
などの疑問を感じる方も多いと思います。
そこで今回この記事では、
- 英語のシャドーイングで得られる効果
- 正しいシャドーイングのやり方
- シャドーイングにおすすめの教材
などを英語学習初心者の方にも分かりやすいように紹介・解説していきますよ。
英語のシャドーイングとは
シャドーイングとは、英語の音声を聞きながら1~2語程度遅れて自分も発音する学習法のことで、聞こえてくる音声の影を追いかけることから「Shadowing」という名前がつきました。
また、1文すべてを聞き終えてから発音する「リピーティング」と混同されがちですが、シャドーイングの方が圧倒的に難易度が高く、日本語でシャドーイングをやったとしてもはじめのうちは難しく感じる方も多いでしょう。
そんなシャドーイングは難易度が高い分多くのメリットがあるので、TOEIC対策や受験勉強、英会話スクールなど多くの英語学習者が実践している勉強法なんです。
シャドーイングで得られるメリット
シャドーイングの概要が分かったところで、続いてはシャドーイングをすることで得られるメリットをご紹介していきます。
シャドーイングのメリットは大きく分けて3つあり、どれも英語力アップには欠かせない重要なものなので、ぜひチェックしてシャドーイングの効果を覚えていきましょう。
それではさっそく解説してきますよ。
リスニングスキルの向上
まず1つ目のメリットは、「リスニングスキルの向上」です。
シャドーイングは常に英語を聞きながらおこなう勉強法であることから、英語の聞き取りが上手くなることは想像しやすいですよね。
また自分で英文を発音するためには、すべての単語に集中して聞かなければいけないため、ただ英語を聞き流すよりもリスニング力が鍛えやすいんです。
それに加えて、さまざまな文章でシャドーイングをしていくうちに今まで聞き取れなかった単語や音声変化が聞こえるようになっていくため、続ければ続けるほどリスニングスキルが向上していきますよ。
正しい英語の発音の習得
次に2つ目のメリットは、「正しい英語の発音の習得」です。
日本人は英語を発音する機会がかなり少なく、正しい発音で英語を話すことが苦手という人も多いと思います。
しかしシャドーイングは聞こえてきた英語をそのまま口に出す勉強法なので、自分の英語がカタカナ英語になりにくく、正しい発音を習得しやすくなりますよ。
また使う教材によっては、日常生活で使えるフレーズを覚えることもできるので、目的に合わせた文章でシャドーイングをするとモチベーションが高まってさらに発音を覚えやすくなるでしょう。
英語特有のリズムに慣れる
最後に3つ目のメリットは、「英語特有のリズムに慣れる」です。
日本語は「音節拍リズム」という、文章の中に音の強弱が少ない特徴がありますが、その一方で英語は「強勢拍リズム」という、文章の中でとくに意味を持っている単語を強く長く発音し、それ以外は弱く短く発音する特徴があります。
そのため音節拍リズムの癖がついている日本人が正しい文法や発音で英語で喋ったとしても、実は英語のネイティブには伝わりにくいんです。
そこでシャドーイングを日常的におこない、強勢拍リズムに慣れていくことで英語特有のリズムを習得できるようになるんです。
強勢拍リズム慣れるとリスニングとスピーキングの両方のスキルが格段にレベルアップするので、基礎英語力がついているのに英語が伝わらない方にもシャドーイングはおすすめですよ。
正しいシャドーイングのやり方
前章ではシャドーイングのメリットをお伝えしましたが、シャドーイングは正しい方法でやらないと効果を最大限に引き出すことはできません。
そこでこの章では、正しいシャドーイングをするために知っておきたい5つのポイントをご紹介していくので、初めてシャドーイングをする方や今のやり方が合っているか不安な方はぜひチェックしてみてください。
それでは順番に詳しく見ていきましょう。
基礎知識を固めておく
まず1つ目のポイントは、「基礎知識を固めておく」こと。
というのも、ほとんど聞き取れない英文を使ってシャドーイングをしようとしても正しく発音することは難しく、学習効果を実感できないため。
そのため、基礎的な単語や熟語、文法の知識は事前に身に付けておくようにしましょう。
またシャドーイングには教材選びも重要で、自分のレベルに合った教材を使うことで大きなメリットを得られるので、今の自分のレベルをよく見極めて教材を選んでくださいね。
フレーズごとにリピーティングする
次に2つ目のポイントは、「フレーズごとにリピーティングする」こと。
はじめから長文をシャドーイングすることにハードルの高さを感じている場合は、フレーズごとに区切ってリピーティングをするようにしましょう。
というのも、まずリピーティングをしてフレーズごとの内容を把握しておくことで、長文でのシャドーイングがやりやすくなるため。
またリピーティングは記事上部でも触れたように、音声が流れ終わってから同じ内容を発音する勉強法で、シャドーイングよりも簡単にできることが特徴です。
フレーズごとにリピーティングをしてある程度発音できるようになったら、フレーズをつなげて文章でシャドーイングをしてみてくださいね。
オーバーラッピングする
次に3つ目のポイントは、「オーバーラッピングする」こと。
英語の発音に慣れていない方は、いきなりシャドーイングすると自分の間違いに気づきにくいため、流れてくる英文とぴったり同じように発音する「オーバーラッピング」がおすすめ。
具体的なやり方としては、手元にスクリプトを用意して音声と同時に発音するだけなので比較的簡単で、英語初心者の場合でも取り組みやすいでしょう。
また手本となる英語の音声をかき消さないように、少し小声でオーバーラッピングすると自分の発音を強制しやすくなりますよ。
テキストなしでシャドーイングする
次に4つ目のポイントは、「テキストなしでシャドーイングする」こと。
ここまで紹介してきたポイントを意識して学習したら、テキストを使わずに英語の音声のみでシャドーイングを始めましょう。
はじめのうちはスラスラとシャドーイングができないかもしれませんが、途中で詰まっても諦めずに聞こえてくる英語を発音し続けることが大事ですよ。
また、流れてくる英文と同じようにネイティブになりきって恥ずかしがらずに発音することがシャドーイングの効果をより引き上げるので、声を出すときは「正しい発音」を強く意識しましょう。
同じ文章をやり込む
最後に5つ目のポイントは、「同じ文章をやり込む」こと。
というのも、シャドーイングは復習することで学習効果がさらに上がり、知識を確実に積み上げることができるため。
そのため一度シャドーイングをしたらスクリプトを確認して、どこが聞き取れなくてどこが上手く発音できなかったのか把握するようにしましょう。
その後もう一度同じ文章でシャドーイングをして、苦手な箇所をなくしていくイメージでやり込んでいくと英語力アップを実感しやすくなりますよ。
注意!よくある間違ったシャドーイング
前章では正しいシャドーイングのやり方をご紹介しましたが、反対に間違ったシャドーイングも存在します。
そこでここでは、日本人の英語学習者によくある間違ったシャドーイングを3つご紹介していくので、ぜひ確認して正しいシャドーイングをするために役立ててくださいね。
それでは一つずつ詳しく解説していきます。
基礎英語力が身に付いていない
まず1つ目の間違いは、「基礎英語力が身に付いていない」こと。
記事上部でもお伝えしたように、単語や文法の知識がないままシャドーイングをしても上手くできず、あまり学習効果を実感できません。
そのなかでもとくに英会話力向上を目的としている方は、英語の音声変化についての知識がない状態でシャドーイングを続けても実践で役立つスキルを身に付けることは難しいでしょう。
そのため大学受験やTOEIC、英会話など、個人の目的に合わせて最低限必要な基礎英語力をつけた上でシャドーイングすることがおすすめです。
初めて聞く音声でシャドーイングをしている
次に2つ目の間違いは、「初めて聞く音声でシャドーイングをしている」こと。
というのも、英語初心者、中級者の場合は初めて聞く音声ではスムーズにシャドーイングできないことが多く、モチベーションの低下につながってしまうため。
そのため、前章でご紹介したような「フレーズごとのリピーティング」などをしてあらかじめ英文をある程度理解してからシャドーイングをするようにしましょう。
もちろん、初めて聞く音声でスラスラとシャドーイングできる英語上級者の場合は、事前に知識を入れておく必要はないですよ。
教材の難易度が高すぎる
最後に3つ目の間違いは、「教材の難易度が高すぎる」こと。
基礎的な英語力が身に付いていたとしても、選ぶ教材のレベルが高すぎると上手くシャドーイングができないですよね。
そのため自分がギリギリ理解できるレベルの教材を選ぶことも、シャドーイングをするうえで重要なポイントといえるでしょう。
また次章ではさまざまなレベルの教材をご紹介しているので、ぜひ続けてチェックしてくださいね。
シャドーイングにおすすめの教材3選
この記事内では、シャドーイングの効果や正しいやり方などをお伝えしてきましたが、実際にシャドーイングをするとなると、「どんな教材を使えばいいの?」と迷う方もいると思います。
そこでこの章ではシャドーイングにおすすめの教材を3つ厳選してご紹介していくので、自分に最適な教材を見つけてみてください。
それでは詳しく見ていきましょう。
改訂版 キクタン リーディング【Basic】4000
まず1つ目の教材は、「改訂版 キクタン リーディング【Basic】4000」です。
この教材は、音声を聞きながら単語を覚えることでより記憶に定着しやすくなることから、多くの英語学習者に人気の単語帳ですが、長文を72個も収録しているためシャドーイングにも最適な一冊なんです。
また大学受験でとくに重要な単語を扱っているので、受験勉強にはもちろんのこと、復習や基礎固めをしたい方におすすめの教材といえるでしょう。
なお、価格はAmazonで1,540円となっています。
速読英単語 必修編
次に2つ目の教材は、「速読英単語 必修編」です。
この教材も先ほどと同様に単語帳として英語学習者に人気の一冊ですが、長文の中で単語を覚えるシステムになっていることからシャドーイングに応用しやすいことが特徴。
それに加えて、「mikan」という英語学習アプリを使うことでスマホで簡単に音声を流せることや、見開きで英語と日本語の内容がリンクしていることで復習も手軽にできることも大きな魅力ですよ。
なお、価格はAmazonで1,100円となっています。
究極の英語リスニング
最後に3つ目の教材は、「究極の英語リスニング」です。
この教材は日常生活や旅行、ビジネスシーンなど幅広いシチュエーションで使える基本の1,000語のみで構成されたリスニング教材であり、音声の再生速度を3段階で調整できるため英語初心者の方でも取り組みやすいでしょう。
また音声がシチュエーションごとに分けられているため、自分の役に立つセクションのみをシャドーイングすれば効率の良い勉強ができますよ。
なお、価格はAmazonで1,870円となっています。
まとめ
今回この記事では英語のシャドーイングについて詳しく紹介・解説してきましたが、いかがでしたか?
最後にもう一度、シャドーイングのメリットと正しいやり方をまとめるので、一緒に振り返っていきましょう。
◇英語シャドーイングのメリット
- リスニングスキルの向上
- 正しい英語の発音の習得
- 英語特有のリズムに慣れる
◇正しいシャドーイングのやり方
- 基礎知識を固めておく
- フレーズごとにリピーティングする
- オーバーラッピングする
- テキストなしでシャドーイングする
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